2025.12.10
『ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版』公開に向けて、第一線を走るクリエイター、ライター、著名人より絶賛コメント到着!
【コメント寄稿者】
イッセー尾形(俳優)、石川慶(『遠い山なみの光』監督)、山中瑶子(『ナミビアの砂漠』監督)、小谷実由(モデル)、鈴木ジェロニモ(芸人・歌人)、川村ナヲコ(イラストレーター)、森直人(映画評論家)、児玉美月(映画批評家)、岨手由貴子(『あのこは貴族』監督)、月永理絵(映画ライター・編集者)、島田大介(映像作家)、呉美保(『ふつうの子ども』監督)、五十嵐耕平(『SUPER HAPPY FOREVER』監督)、ISO(ライター)、トモマツユキ(イラストレーター)
・・・他、随時追加予定!!
「ヤンヤン夏の想い出」はどのシーンも丁寧な断片の積み重ねですが、特に何度も思い出すのが、NJ が彼女と東京で会うホテルの窓から東京タワーがはじに見えるのですが、それが不気味な存在感で、こんな東京タワーは見たことがありません。薄い霧に包まれてるような、正真正銘の無国籍のような。
言葉では到底たどり着かない独特の存在感でした。この作品の、ある意味象徴かもしれません。
イッセー尾形(俳優)
生まれたばかりの赤子から死にゆく老人まで、あらゆる年代が画面を往来するこの映画は、見る者の現在地をそっと照らす。喜びも痛みも、取り返しのつかない時間さえも、普遍であるからこそまぶしい。見えないものへ手を伸ばす勇気を、何度でも呼び起こしてくれる。
山中瑶子(『ナミビアの砂漠』監督)
カメラをどこに置くか、そのたった一つの選択が世界をいかようにも変えてしまう。
その魔法のような力を、僕はこの映画から教わった。
その驚きは、何度観ても新鮮なままだ。
石川慶(『遠い山なみ光』監督)
誰しもが体験するであろう人生の出来事を、ありのまま優しく撫で肯定してくれるようなこの作品が大好きです。
何度も見ている景色の中で、新たな視点を見つけることができる喜び。
ヤンヤンはもちろん、この作品で出会えるたくさんの愛おしい人物たちのことをさらに深く想像した幸せな時間でした。
小谷実由(モデル)
冷蔵庫から取り出したチーズの円い箱にチーズが入っていない。なんなんだ。
自分が自分らしくて笑う。
チーズがひとつだけ入っていたら、もしかしてさみしかったかもしれない。
ひとつだから、ひとりだから、そこにいるから、いなくなる。
スクリーンの奥に、遠くに、人がいる。
マッチを擦った火のようにさみしさが立ち上がる。お願い。いなくならないで。
言葉に含まれる微量の風が、消さないように、火を揺らす。
鈴木ジェロニモ(芸人・歌人)
昔のような、そんなに昔でもないような時間のなかで
見たことがないような、または自分の記憶のような風景に包まれて、
いつまでもまどろんでいたいけど厳しく目覚めさせてくれる映画でした。
願わくばイッセー尾形さん演じる大田のようにわたしも朝を恐れず生きたい。
川村ナヲコ(イラストレーター)
▼川村ナヲコによるイラスト

愚かなる大人たち。愚かになりつつある子供たち。
我々は様々な欠陥や煩悩を抱えながら、人生という戦場を傷だらけで渡っていく。
その宿命的なメカニズムは、エドワード・ヤンの集大成的な人間曼荼羅『ヤンヤン 夏の想い出』に全て描かれているようだ。
森直人(映画評論家)
生まれゆく赤子から死にゆく老人までが交錯するポリフォニックな本作は、いつどの時代に観ても必ずそこに自分を見つけられる。これほどまでに人生のすべてが凝縮されている映画はきっとほかにない。2025 年は、ぜひ『ヤンヤン 夏の想い出』で締め括ってください。
児玉美月(映画批評家)
オールタイムベストを考えるときに、必ず頭に浮かぶ作品です。
昨今の“考察”ブームに逆行するようなエドワード・ヤンの美しい悲喜劇は、この世の屈託のない真理を見せてくれます。
これからも、何度も何度も、私はこの映画を観つづけるでしょう。
岨手由貴子(『あのこは貴族』監督)
取り返しのつかなさ。エドワード・ヤンの映画を見るといつもその言葉が浮かぶ。起きてしまったことはもうやり直せない。すべては手遅れなのだと。
『ヤンヤン 夏の想い出』もまた、残酷なほど克明に、人生の取り返しのつかなさを私たちに突き
つける。けれどその先にかすかな希望が垣間見える。それは子供たちへと託した願いなのだろうか。
月永理絵(映画ライター・編集者)
どのカットも、どのセリフも、どの音楽も
ため息が出るほどに全てが完璧
時代も流行も超越して
いつ観ても、私に寄り添い
何度観ても、新しい発見をくれる
観ている間はただただ心が満たされてゆく
この映画の他でもない幸福は
エドワード・ヤン監督の「永遠の最新作で最高傑作」
として輝き続けていることかもしれない
呉美保(『ふつうの子ども』監督)
映画というものが一体何なのか未だにまるでわからないでいる。
でも『ヤンヤン 夏の想い出』という透き通ったフィルムを観たその時、
自分が心の奥で感じていたこの世界の感覚を
「ほら、これかもしれないよ」と差し出され初めて触れた気がした。
この映画はまるで、困難な時に何も言わず傍にいてくれる誰かのよう。
そういう存在は一生忘れない。
五十嵐耕平(『SUPER HAPPY FOREVER』監督)
人生に訪れる豊かな感情、瞬間を鮮明に捉えたある家族のポートレート。
忘れ難い画と台詞の連なりがゆるやかなペースで連鎖していくなかに、驚くほど濃い時間が凝縮されている。儀式で始まり、儀式で終わる別の国の日常に、なぜこれほど深く共感できてしまうのだろうか。生活のふとした瞬間に思い出してじっと浸りたくなる、そんな映画。
ISO(ライター)
エドワード・ヤン監督作品の中でも、ゆったりとした時間の流れが心地よい作品。
長回しカットは4K 化によって、キャストの表情や、奥にある美術を鮮明に映し出し、改めて監督の意図をより深く理解することができました。
何度も鑑賞している作品ですが、今回初めて鉄腕アトムが沢山隠れていることに気づきました。
島田大介(映像作家)
誰しもが抱える心の影をリアルに描きながらも、
哲学的な名言の数々は、進むべき道を照らす光のよう。
観た人の“人生を3倍にしてくれる”エドワード・ヤン監督からの贈り物のような映画です!
トモマツユキ(イラストレーター)
▼トモマツユキによるイラスト
